働く自動車❢ 東京電力パワーグリッドの高圧移動電源車で渋峠エリアは運転中です

2021.05.19

5月1日に起きた横手山を直撃した落雷による停電は、いまも渋峠エリアでは解消されていません。そこでこの地域を担当する東京電力(パワーグリッド社)が緊急配備してくれたのが500kVAの高圧電源車2台です。

単純計算(力率を無視)すると、1台で40A契約の個人宅が125軒フルに電気を使っても対応できる供給能力ということになります。実際に渋峠ロマンスリフトが使用している電力量は1台の能力の約4分の1だそうですから、30〜40軒のお宅がフルに電気を使った状態でしょうか。リフト1台でも電気代がかなりかかるんです!^^

スタッフが調べたところ、この高圧電源車のベース車両は日野デュトロの超ロングデッキバージョン。架装した神鋼造機が公表するスペックは全長7m、全幅2,2m、全高3.3m!発電しながら給油が可能なので200時間の連続運転に耐えるそうですが、運用としては約2日ごとに交代運用しています。2人一組で交代しながら24時間運用をチェック。目の前が渋峠ホテルなので、今回は宿泊されているそうですが、断線した送電線が常にホテルの目の前にあるわけではないので、キッチン設備を持ったキャンピングカーも常時用意しているとか。

この電源車は6600Vの高圧電気を供給します。なぜそんなにも高圧なのでしょうか?もう少し電気の勉強を思い出すと、同じワット数であれば、電圧(V)を高くするとアンペア数が小さくできるからです。たとえば660Wを100Vで使用するには6.6A必要ですが、6600Vならば0.1A。結果として電線を細くすることができるので、工場など大電力が必要な場所には高圧電流で運び、敷地内のキュービクルで実際に必要なV数に落として利用するのです。多くのスキー場ではこの高圧電源をキュービクルで400Vに変圧して使用しています。

発電用ディーゼルエンジンは、ドイツMAN社製、V10気筒18,270cc、出力452kW。MAN社は、耐久性が高く船舶や産業用発電機などで使われる低速エンジンでは世界的に圧倒的なシェアを誇っています。

渋峠エリアの停電が全面的に復旧させるには、雪がなくなってから地下埋設された電線を掘り起こしてからとのことなので、6月以降になります。まだまだこの高圧電源車の力を借りなければなりません。「働く自動車・6600Vの高圧電源車見学会」やってもらえないかな〜東電さん^^